女性の生き方が多様化し、【結婚&出産=女性の幸せ】これが必ずしも正しい構図ではないと、認識されるようになりました。
けれど一方で、《結婚&妊娠》に対して思い悩む女性は変わらず多いです。
私たち夫婦には、子どもがいません。
望まなかったわけではなく、2006年に姪っ子が生まれてかわいくて、私も主人の子が欲しいなと思っていました。
それでもなかなか授からなかったある日、親と同世代の女性セラピストにこんなことを言われました。
「あなたは子どもがいないから人として欠落しているのね〜。なーんか気になってたのよ〜」
子どもが欲しい。
自分の方向性でも悩んでいる。
そんな時期のことでした。
相手に悪意があったのか なかったのか、それはわかりません。
その言葉は、私の心の奥深くにサクッと刺さりました。
けれど笑顔で受け止め、私は帰宅。
すごくショックだったはずなんです。
でも私はその時、心に刃が刺さって血が流れていることに気がつきませんでした。
半年後、実家に帰省していたときにそれは起こりました。
私の口からポロっと涙のように言葉が溢れたのです。
「あのね、『子どもがいないからあなたは人として欠落してる』って言われたんだけどね。私、欠陥人間なのかな?」
母の前で口から言葉がこぼれた途端、堰を切ったようにポロポロと涙が溢れてきました。
「そんなことない!」
「でもその人、子育てママを応援してるんだって言ってて…」
「そんなことを平気で言う人に、応援なんかされたくない!!」
叫びながら私を抱きしめてくれる母。
半年経って、初めて泣いた私。
無意識に自己防衛が働いていたのか、ようやく私は、自分がものすごく傷ついていたことに気がついたのです。
人は、自分が経験したことのない悩みに対して、とても鈍感です。
子どもに関する不用意な発言を私はたびたび受けてきました。
結婚して、妊娠して、出産して。
それらを当たり前に何の問題もなく経験した人は、その中で悩み・迷い・苦しむことがあるでしょう。
だからその生活の中で、悩みや迷い、苦しみがあることはわかる。
けれど、経験できないことで悩み、迷い、苦しむ人のことはわからないのかもしれません。
言葉は人を癒しもするけど、傷つけもします。
悪意がなくても、凶器になるのが言葉です。
子どもがいなくても、素敵な人はたくさんいます。
子どもがいないからこそ送れる、素晴らしい人生があります。
それは、子どもがいるから知ることのできる世界があるのと、同じくらいの価値があると思うのです。
けれど頭ではそうだとわかっていても、心が追いつかない数年間がありました。
子どもがいないことに囚われてしまうのは、まるで呪いのよう。
湧き上がってくる罪悪感や劣等感。
誰かに何かを言われて傷ついて、笑ってかわして後で泣く。
そんな自分に自己嫌悪。
きっと私と同じ思いを経験された女性はたくさんいらっしゃると思います。
苦しいですよね。
私も苦しかった。
でももう解放されていい。
あなたも私も、存在しているだけで素晴らしいから。
だからもう、ただ自分を生きよう。
本当に心からそう思えるようになるまで、10年かかりました。
それでもたまに、グラッと揺れる日があります。
それはもう、しょうがない。
揺れる自分ごと、私です。
そして私には、20年経っても手をつなぐ大好きな人がいる。
だからみなさんも、自分の人生を生きてくださいね。